日本機械工具工業会

平成26年度 日本機械工具工業会賞

環境活動賞
空気圧縮機台数制御・監視システム導入による省エネ
京セラ株式会社 機械工具事業本部 鹿児島川内工場加工グループ 

背景・問題点

・負荷の変動に合わせて、空気圧縮機の稼働台数を調整したいが、負荷の変動が不明な為、予想最大負荷容量で稼働する必要があり、稼働台数の制御が出来ず、電気使用量増加の要因となっていた。
・設備の老朽化が進み、停止の危険度が高く、運転効率が悪化し、オーバーホールの必要もある状態であった。


活動の内容

・1台のインバータ付空気圧縮機と3台の通常コンプレッサーで台数制御を行い圧力と稼働台数の管理が出来るようにした。
・空気圧縮機の更新を行い、オーバーホール費用、メンテナンス費用の削減が出来た。





空調機更新と給排気ファン設置による環境負荷軽減
住友電工ハードメタル株式会社 生産技術開発部 設備・インフラ管理グループ 

背景・問題点

マシニングセンタなどの加工機を多数設置している工場ではオイルクーラなどから排出さる熱(排熱:45℃超え)により、作業環境温度が夏季は30℃、冬季でも25℃を超えるため年中冷房が必要であった。また、空調機(1989年製)に使用されている冷媒ガスは環境負の大きいフロンR22であった。


活動の内容

当該エリアに設置されている3台の空調機を環境負荷の小さい冷媒ガス(R-410A)を使用する最新型空調機に更新した。また、排熱の溜まる天井付近の空気を排気し、外気温度と室内温度を比較して給気量の自動調節を行う給排気システムを設計、導入した。これにより、夏季以外は空調機を停止させることが可能となり、省エネを図ることができた。





夏場の電力使用のピークカットによる省エネ活動
ダイジェット工業株式会社 大阪事業所製造及び設備対策部門

背景・問題点

電力需給の不安定なことから、電力使用量の削減とピーク時間(13:00~16:00)の電力費を押さえる必要があった。


活動の内容

1.散水により外気温に対し屋根裏温度平均2℃低減。
2.屋外屋根に遮熱塗料を塗布することにより、外気温に対し屋根裏温度平均4℃低減。
  上記を実施した工場室内のエアコンの設定温度を低減設定し、節電実施。
3.全焼結炉及びHIPの稼働時間調整により、ピーク時間のデマンド電力を削減。




コンプレッサのドレン油の回収方法改善による廃棄物削減活動
ダイジェット工業株式会社 富田林工場

背景・問題点

コンプレッサのドレン排水が、夏場冬場のピーク時には排水量が多く、廃棄手間が掛かり廃棄物量も多く、環境負荷削減からドレン水の削減の必要があった。


活動の内容

当初ドレン水は、油と水が混ざっている為、リサイクルできず、産業廃棄物として処理していたが、ドレン回収装置を自作し、油と水を分離し、油分のみを産業廃棄物として提出し、廃棄物を削減した。





空調設備の省エネ(冷凍機電力、蒸気ボイラ灯油)
株式会社タンガロイ 総務部

背景・問題点

当社のいわき工場のエネルギー(電力、灯油)消費量は、空調への負荷が増大する夏場が最も大きくなる。エネルギー消費を抑えるためには、夏場の空調を見直す必要があった。工場内は、品質維持のために、温度・湿度ともに管理されている。夏場は、温度調整に加えて除湿を要する。除湿時は、空調機内に取り込んだ空気を、結露する温度(露点温度)まで冷却することで、空気中の水分を除去している。このときの温度は、室温よりも十分に低い為に、空調機の吹き出しの空気温度(給気温度)を、再加熱することで調整しなければならない。この時に要するエネルギーは、他の季節と比較し非常に大きい。省エネのために、工場内の温湿度管理に影響を及ぼすことは、製品品質管理上選択できなかった。そこで、空調機側は変更せず、各々の熱源発生設備に対して、省エネに取り組むこととした。


活動の内容

冷却するための冷熱源としてターボ冷凍機(電力消費設備)で作られた冷水を、加熱する為の温熱源として蒸気ボイラ(灯油消費設備)で作られた蒸気を、各々空調機に供給している。これらの熱源発生設備は、消費するエネルギーも、作り出すエネルギーも異なる設備であることから、同一の視点・手法での省エネは不可能であった。そこで、各々の設備に対して別々のチームを構成し、異なる2つのアプローチにより省エネに取り組むこととした。
【冷熱源(ターボ冷凍機の電力消費量削減)】
  冷水温度を上げる、冷水流量を最適化する、冷凍機同時稼働台数の抑制
【温熱源(蒸気ボイラーの灯油消費量削減)】
  燃焼温度(燃焼量)を下げる、複数台制御の最適化、蒸気圧力を下げる





投影用光源のLED化による省エネ推進
富士精工株式会社 熊本工場生産技術課保全グループ

背景・問題点

工場内の省エネ対策として、照明装置は使用時以外は点灯しないようにし、点灯時間の短縮による消費電力の低減を進めてきたが、投影用の光源は機械稼働時には点灯させておく必要があり点灯時間の短縮が出来ずにいた。点灯時間以外で省エネを進めるとなると、光源自体の変更が考えられ市販品を検討したが、コストや性能の問題で導入を断念し自作するにした。


活動の内容

投影用光源のハロゲン球の代用品としてLEDが使用出来ないか検討、テストを行い最終的に『高効率パワーLED』を使用した照明装置を作製し、消費電力量を低減させた。





超微粒原料粉末の乾燥方法最適化による電力使用量削減
冨士ダイス株式会社 郡山製造所冶金課および東日本生産技術部

背景・問題点

超微粒超硬合金の混合粉末は、酸化による劣化を防ぐ為、普通粒度の超硬合金の混合粉末より成形助剤を多くして乾燥していた。
結果として、超微粒超硬合金は、焼結での脱助剤時間が長くなり、焼結時間が普通粒度の合金より長くなっていた。また、普通粒度の超硬合金とは別で焼結する必要も生じ、焼結回数を増加させていた。これらにより電力使用量を多く使用する要因となっていた。


活動の内容

超微粒超硬合金の混合粉末の乾燥の工程について細部を見直しして監視・測定を強化することにより、普通粒度の超硬合金に近い成形助剤量としても、酸化防止することに成功した。そして見直された原料による生産について冶金と生産技術が共に見直した。結果として、脱助剤時間を短縮したことで焼結時間が短縮され、普通粒度の超硬合金と同時に焼結することが可能となって単独での焼結をしなくてよくなり、生産効率を改善しつつ、電力使用量を削減することができた。





外気導入による空調設備の省エネ化
三菱マテリアル株式会社 筑波製作所設備技術グループ

背景・問題点

空調設備で使用されるエネルギーは、所内全体エネルギー使用量の約24%を占めている。生産職場における快適な作業環境や生産性を維持しながら省エネ化を進める為、空調設備に使用されるエネルギーの削減を検討した。


活動の内容

筑波製作所では冷熱源機器として、3台の吸収式冷温水機(A重油が燃料)及び各所に設置されたエアーハンドリングユニット(AHU)を用いて空調を行っている。
AHU用外気導入ダクトに温度検出器を設置し外気温を測定、冷房利用時に、外気温が室内設定温度以下となった場合、外気を積極的に取り込み室内の空調を行う。なお、外気を取り込んでいる時は、室内循環量及び冷水量を減らし、冷熱源機器への負荷を低減させることにより省エネ化を図る。
一方、冷暖では逆動作とし暖房時には外気による冷房(上がり過ぎた室温を下げること)も可能となる。