日本機械工具工業会

平成24年度 日本機械工具工業会賞

作業・事務・生産技術等の改善賞
超硬合金の切削条件の最適化研究  株式会社ノトアロイ
林 憲一 (はやし けんいち)  志田 穣太郎(しだ じょうたろう)

目的:

従来よりも機械的特性値を向上させた超硬合金を機械加工する際,使用される切削・研削工具が早期に劣化するため,工具使用量の増加や加工時間の延長等の課題があると,ユーザーより問題定義があった.加工重量(削られた量)と消費電力量を計測し,最適な加工条件を見出すことを試みた.加工重量に対する消費電力量としたのは,本来,NC旋盤に入力した電気エネルギーは加工に使用されるエネルギーとロスエネルギー(振動,発熱,騒音や刃具摩耗等に変換されるエネルギー)があるはずであり,エネルギー効率が良く,ばらつきの小さい条件が最適加工条件と考えた。


効果:

加工重量に対する消費電力量のばらつきが小さくなる組み合わせを最適条件として、現行条件との比較したところ、電力波形が安定したうえに、表面粗さの向上や工具摩耗が抑制された。その結果 ①切削工具の使用量:従来の1/2 ②後工程の加工時間:従来の1/3となった。





切削・研削液および潤滑油の排出量削減 ダイジェット工業株式会社
三原 健司(みはら けんじ)  阿蘇品 茂史(あそしな しげふみ)  野中 優樹(のなか ゆうき)

特徴:

研削・切削液の交換サイクルを延長して、廃液・廃油の量を削減した。


効果:

・切削液の交換頻度 12回/年→2回/年へ改善(廃液量83%削減)
・研削液の交換頻度 12回/年→3回/年へ改善(廃液量75%削減)
・潤滑油の使用量  108ℓ/年→2.5ℓ/年へ改善(廃油量97%削減)



プローブ測定活用による機械停止時間の低減 富士精工株式会社
矢野 浩二(やの こうじ)  井 慈文(い よしふみ)  西島 豊(にしじま ゆたか)

背景:

マシニングセンターで微調整ユニット取付穴の加工を行っているが、仕上がり精度が厳しい為、仕上代を残し粗加工後、機械を止め作業者が計測器で測定を行い、仕上代を機械に補正入力して、仕上加工を行っている。測定している間は機械が停止し、作業者の工数もかかるので改善したい。


効果:

タッチプローブ式インライン測定器の活用とプログラムの改善により機械停止時間の低減達成。
改善前:5.6分×27PC =151.2分/月
改善後:1.5分×27PC =40.5分/月 110.7分/月低減。




超硬合金研削の高能率化 冨士ダイス株式会社
前場 宣(まえば のぶる)  小原 純一(おばら じゅんいち)  持田 徹(もちだ とおる)

特徴:

耐摩耗工具用サーメットを研削する砥石の開発を超硬合金用に発展的に適用。超硬合金の汎用の研削砥石FAW-ICの開発に成功。開発段階で焼成時間を短縮し、高能率生産を達成。新砥石FAW-IC#140による超硬合金の荒加工において超微粒超硬合金で20%以上のドレスサイクル延長を達成、粗粒超硬合金で400%以上のドレスサイクル延長を達成した。


効果:

超微粒超硬合金では、ドレス作業ロス時間を10~30%削減、粗粒超硬合金では、超微粒・中粒用砥石での研削を可能とした。幅広い超硬合金の材種についての研削加工能率改善に成功した。



人員配置の変化に対応する安全教育体制の構築 三菱マテリアル株式会社
和田 恭典(わだ やすのり)  野田 孝始(のだ たかし)  武間 滝之(ぶま たきゆき)

特徴:

労働安全衛生法に基づく教育について主に外部講習にて対応していたが、機動的な要員配置へのタイムリーな対応が困難となった。そのためインストラクター教育を受けた要員を養成し、内容も社内向けの内容を踏まえた教材を整え、必要な時期に必要な教育を受講できる体制を構築した。


効果:

外部講習では、1回/月の受講機会であったが、所内で実施することにより、随時調整が可能となった。合わせて外部への支払い費用の削減を図ることが出来た。